アシックスは今夏をメドに、データをマーケティングなどに活用するためのプラットフォームを稼働させる。オンラインやモバイルから収集する顧客の購買や活動の情報を分析して活用していく考えだ。

 同社は昨年2月にランニングアプリの「Runkeeper」を提供する米フィットネスキーパーを8500万ドル(約93億5000万円)で買収したのを契機に、デジタル活用を加速している。

 昨年10月にはグローバルデジタル統括部を立ち上げた。同統括部は米ボストンを本拠地として、統括部長にフィットネスキーパーCEO(最高経営責任者)、副統括部長に同COO(最高執行責任者)を据えた。現地での採用も含めて早期に20人の体制とする考え。アシックスのデジタルマーケティング部やオンライン販売のコマース部のメンバーもボストンのオフィスに常駐し連携する体制を、今年4月までに構築した。

ランニングアプリの「Runkeeper」
ランニングアプリの「Runkeeper」

 Runkeeperは若年層や女性などを中心に全世界に4000万人の利用者がいる。アシックスはこれらの顧客基盤と活動のデータ、モバイルアプリの実装やデータ分析に強いエンジニアを獲得した。

 この強みを生かしていくため、データを統合してマーケティングに活用できるプラットフォームとなるシステムを開発中だ。現在のところ欧州やオーストラリアなどのマーケットで試験的に運用しており、今年夏をメドに全世界で本格的に稼働させる。

 アシックスとフィットネスキーパーがそれぞれ収集してきたデータの統合については、顧客が望んだ場合にIDが連携する形で対応していく方針だ。

ランニングフォームのAI分析も

 収集・管理している情報としては、Runkeeperであればランニングの距離や軌跡、ある時点のスピードや心拍数などの構造化されたデータが中心だ。アシックスのグローバルマーケティング統括部マルチチャネルマーケティング部長を兼務する近藤孝明グローバルデジタル統括部デジタルイノベーション推進部長は「今後は、ランニングフォーム映像など非構造化のデータを投稿してもらい、分析してアドバイスを与えるといったことを考えている。分析には人工知能(AI)を活用していきたい」と説明する。

 ソーシャルメディアも含めて、主要顧客であるランナーの行動や嗜好をより詳細に把握することで、新たな販売戦略を立案し実行できるようになる。「現時点では様々な方向性を検討しているが、顧客に対して最適かつタイムリーで、かゆいところに手が届くレコメンドをしていきたい。顧客と一緒に商品を創出することも想定する」(近藤部長)。

 引き続きRunkeeperの利用者拡充にも取り組む。外部のアプリやサービスからアクセスできるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の開放も進めており、他のウエアラブル機器との接続や、他のヘルスケア関連サービスとの連携も可能にする。現在、「Health Graph」と呼ぶAPIでは約30の機能を提供している。

 今後、ボストンを拠点として近隣の大学や研究機関、スタートアップ企業とも連携していく考えだ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本企業とも東京・渋谷のオフィスを通して連携していく。

 これら多種多様なデータを活用するため、データサイエンティストを採用し、売り上げや在庫の予測分析も検討していく。

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