流通業の人工知能(AI)活用を業界横断で検討する団体が発足した。福岡市に本社を構えディスカウントストアなどを展開するトライアルカンパニーが中心となって、売り場での実験を通して新たなサービスや商品を創造したり、店舗やサプライチェーンを高度化したりする狙いがある。今年中に100社以上の加盟を目指す。

 一般社団法人の「リテールAI研究会」(東京都港区)を設立し、事務局長には電通出身の田中雄策氏が就いた。全体セミナーや戦略分野の分科会、海外視察ツアーや合宿などを通して、小売りやメーカー、商社・卸などが企業の枠を越えてAI活用を検討していく。

 「店舗における各カテゴリーのマネジメントなどの最適化、商品やサービスのマーケティングや開発に取り組んでいく。会員間では店舗などで実験した研究データも共有していく」(田中事務局長)。

 トライアルグループのAI活用を先導するトライアルホールディングスグループCIOの西川晋二取締役は、「人手不足などの小売りが抱えている課題を解決し、さらに顧客の消費ニーズに店舗の品揃えや価格などをマッチングしていきたい。我々が活用できるデータは人間が扱える量を超えており、AIの活用が欠かせない」と説明する。

 まずはトライアルの取引先メーカーを中心に約800社で構成される会員組織「トライアル会」の加盟企業を中心に参加を呼びかける。正会員は年間50万円、賛助会員は年間5万円で加入できる。賛助会員は研究データの情報は共有されるが、店舗での実験には参加できない。

他スーパーの参加も歓迎

 さらに「他のスーパーなど流通業の参加も制限しないし、歓迎している」(西川取締役)と言う。ただし「参加の際には、自社の売り場を実験の場として提供し、データも共有していただくのが条件」(同)。IT企業など支援側については「まずは研究会でサービスを考えて、それから各支援企業と相談したい」(田中事務局長)との考えだ。

 トライアルホールディングスは店舗のカメラ映像をAIで処理して顧客数を精緻にカウントしたり、タブレットを装着してクーポンを配布する「IoTカート」を開発したり、最新のテクノロジーとデータの活用に積極的だ。リテールAI研究会は、6月7日に取引先を集めた東京でのイベントで初めて公表。その場で永田久男代表取締役は、「当社だけではたいしたことができない。各社に参加いただき、ビッグデータをAIで活用して流通を全く新しいものにして、世の中を変えていきたい」と意欲を見せた。

トライアルホールディングスは東京都で開催したイベントでリテールAI研究会の発足を発表した
トライアルホールディングスは東京都で開催したイベントでリテールAI研究会の発足を発表した
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