車や駐車場、家などの遊休資産をいつでも利用できるシェアリングサービスはビッグデータビジネスそのものだ。特集第3回は、国内のシェアリングサービスで先行しているのが、駐車場最大手パーク24グループのタイムズ24が運営するカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を取り上げる。

 国内のシェアリングサービスで先行しているのが、駐車場最大手パーク24グループのタイムズ24が運営するカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」である。

 タイムズ24の内津基治タイムズカープラス事業部長は「サービスを磨くためにPDCAを回し続けている」と話す。「上げたいKPI」「下げたいKPI」「その他のKPI」をチェックしながら、課題に応じて、担当者が集まる会議や委員会を立ち上げ、改善を進めている。

 カーシェアリング用の車両には各種のセンサーや通信機能が搭載されており、位置や速度、ドアロックなど様々な状況(データ)を稼働中にリアルタイムで取得して把握できる。目標とするKPIを達成したかどうかがすぐに分かるので、改善に素早く動けるのだ。

 上げたいKPIとして代表的なものは、稼働率(平日、休日、夜など)やエリア会員数、クルマの燃費だ。下げたいKPIは、コスト(燃料費、修理費や保険料などの事故関連費用、コールセンターの運営費用)、事故件数、コールセンターのコール数、入電率など。ちなみに入電率とは「カーシェアの利用件数に対するコールセンターへの入電数」。カーシェア1回のサービス利用で、会員から何回電話がかかってくるかを見る指標である。会員は、何かあるとコールセンターに電話をかける。このKPIが確実に下がれば、満足度は上昇しているとみることができる。

 タイムズカープラスは好調だ。営業損益は2014年10月期に前期の約6億7000万円の赤字から約1600万円の黒字に転じた。黒字化には事業開始から5年かかったが、翌2015年10月期には営業利益が12億6000万円と一気に10億円の大台を超えた。既に売上高営業利益率は8.7%と、エクセレントカンパニーの目安とされる10%に迫る勢いだ。

需要獲得へのデータ活用

 タイムズカープラスが黒字化できた要因の1つとして内津部長は、データ活用を挙げる。

 「日々収集されるデータを見ていると、企業によるカーシェアの使い方が見えてくる。その使い方を横展開することで新規の法人会員獲得につなげている」

 例えば、自動車メーカーA社の工場が宇都宮にあるとしよう。A社と取引のある部品メーカーのB社の社員は打ち合わせや営業のために宇都宮に行った際にカーシェアを利用している。タクシーを使うよりも交通費を安く済ますことができるからだ。そこでB社と競合するC社の社員も同様にA社の宇都宮工場に営業に行くはずと考えて、C社に出向いて営業すると、タイムズカープラスに入会する確率が高いという。法人会員を増やすことで平日の稼働率を高めて、収益を上げたのだ。

 2016年4月末、会員数は61万3182人で、法人会員数はそのうち22万8017人を占めた。法人比率は約37.2%と半年前より0.7ポイント向上。着実に法人会員比率を高めている。

パーク24の資産は自社所有

 シェアリングサービスは遊休資産を持つ個人とそれらを利用したい個人、双方をマッチングするサービスの運営者(プラットフォーマー)で構成されている。ウーバー・テクノロジーズは個人のドライバー(車と運転スキル)と利用者をマッチングしている。米エアビーアンドビーは自宅や空き部屋を所有している個人(ホスト)と宿泊したい個人(ゲスト)をつなげている。

 一方で、サービスの運営者自身がモノを所有しているケースがある。タイムズカープラスがそれだ。タイムズ24は約1万3000台(2015年10月期)の車を所有している。運営者が所有するメリットは、前述したように車の細かな状態をリアルタイムで把握しやすい点にある。さらに、利用者のニーズに応じて、供給する車を拡大しやすい。一方で、投資負担は、収益を拡大する上で足かせとなる可能性もある。

シェアリングサービスは資産の所有形態で分類できる
シェアリングサービスは資産の所有形態で分類できる
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