車や駐車場、家などの遊休資産をいつでも利用できるシェアリングサービスはビッグデータビジネスそのものだ。特集第2回は、カルチュア・コンビニエンス・クラブとパートナーシップ契約を結び日本市場開拓を加速させる米エアビーアンドビーによる機械学習活用、駐車場を扱うakippa、自動車を扱うAnycaを紹介する。

 2008年8月創業の米エアビーアンドビーは、世界190カ国以上3万4000以上の都市で、部屋を借りたい人(ゲスト)と部屋を貸したい人(ホスト)をマッチングしている。物件はアパートから郊外の一戸建て、お城まで約200万件登録されている。宿泊者数は2015年までの累計で約6000万人に達し、「世界最大の宿泊業」と言われる。

 エアビーアンドビーのデータ活用はライドシェアの米ウーバー・テクノロジーズ同様、ゲストとホストのマッチングを促進する点で優れている。その一例が機械学習の活用だ。例えば、ホストが2週間旅行に出かける場合に、その期間部屋をどんなゲストに貸し出したいか、ホストの好みを推測している。2週間を通して1人のゲストに貸し出したいタイプなのか、3~4人のゲストを受け入れたいタイプなのか、平日だけなのか、週末だけなのか、機械学習によって推測する。この好みを踏まえた上で、最終的にはゲストの希望に合わせて最適なリスティング(宿泊先)を表示して、予約率を高めているという。

 日本では2015年、「Airbnb」の利用は前年比5倍の130万人に達した。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、こうしたシェアリングサービスで生まれるシェアリングエコノミー市場が2025年に世界で3350億ドルまで成長すると予測する。PwCは、エアビーアンドビーについても「旅館業法『簡易宿所』の枠組みを活用した許可取得促進により、今後大きな成長が見込まれる」とする。また、政府の規制改革会議は、一般住宅に旅行客を有料で泊める「民泊」の営業日数を年間180日以下にする条件を示して規制緩和の流れを作ろうとしている。

 その勢いを加速させるのが、5月27日に発表したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とのパートナーシップ契約の締結だ。「日本流のホームシェアリング」を啓発する特設サイトを開設。CCCが持つ店舗やサイトなどを活用したマーケティング活動や、エアビーアンドビーの新規ホスト登録者へTポイントを付与するキャンペーンなどを実施する。

CCCとエアビーアンドビーは、5月27日から代官山T-SITE(写真)、5月31日からSHIBUYA TSUTAYAで店舗全体を使ったプロモーションを実施している
CCCとエアビーアンドビーは、5月27日から代官山T-SITE(写真)、5月31日からSHIBUYA TSUTAYAで店舗全体を使ったプロモーションを実施している

駐車場のシェアリングも始まる

 国内でもデータ活用で需給マッチングの効率化に注力して急成長しているのが、akippa(大阪市西区)だ。月極や個人が所有する駐車場の空きスペースのデータを集約し、車を利用する企業や個人がその情報を検索して借りることができるシェアリングサービスを展開している。

 顧客がakippaを利用するメリットは予約できること。さらに時間を細かく指定できることだ。スマホアプリを利用して、10日前から15分~1日単位の利用で予約が可能だ。料金は予約ができないコインパーキングの半額から最大で7割安いという。

 駐車場の所有者は、ドライブやルート営業中などで一時的に空いたスペースでも貸し出せるようになる。所有者は料金の約6割を受け取る。

 akippaによる駐車場の利用回数は前年同月比で20倍(2015年12月)。近々、大手自動車メーカーが自社のカーナビからakippaのサービスを使えるようにするという。

 一方、スーパーマーケットや商店の入り口付近の空きスペースなどのシェアリングサービスを展開している軒先(東京都目黒区)も、駐車場のシェアリング「軒先パーキング」を展開している。

 同社は過去の駐車場の利用状況と周辺イベントなどの関係を学習し、料金を動的に変更するダイナミックプライシングの導入を検討している。例えば、近くで人気タレントのコンサートが開催される日とそうでない日では駐車場に対する需要が異なる。普段は1日1500円でも、5000円でも予約して借りたいという需要がある。駐車場の所有者にとっては収入増につながるため、他のシェアリング事業者と比べて、交渉を進めやすくなる可能性がある。

個人同士で車をマッチング

 一方、車を所有している個人(オーナー)と、乗ってみたい個人(ユーザー)をマッチングしているのが「Anyca(エニカ)」だ。ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営している。「普段乗ることができないスポーツカーなどを借りられ、貸し手も安心できる」(オートモーティブ事業部カーシェアリンググループの大見周平マネジャー)点が最大の特徴だ。

 Anycaは、サービスの満足度、車の登録台数、利用者数などのKPI(重要業績評価指標)に注目して、数字を高める施策を実行している。昨年9月にサービスを開始し、登録車数は首都圏の一都三県で約1500台。会員数は4万人弱でこれまでに約4500件の利用があった。

 例えば、ポルシェの特別モデルである「CAYMAN(ケイマン)GT4」というスポーツカーが、12時間2万8800円、1日3万6000円で借りられる(価格はオーナーが決める)。また、車のオーナーにとっては駐車場に置いたままで使わない時間を有効活用して収入を得て、維持費の負担を軽減できる大きなメリットがある。

 利用時には専用のスマホアプリなどを使って、ユーザーとオーナーがチャット形式で会話し、車の受け渡し場所や日時を決める。ユーザーがオーナーと直接会うので、車への思い入れがある者同士、車談義で盛り上がるという。

 個人と個人を結びつけ、高価な商品の貸し借りを実現させるうえで大事なのが、信頼と保証である。Anycaでは信頼を担保するために、ユーザーとオーナーそれぞれによる5段階評価やレビューといったデータを蓄積している。さらに、事故などが起きた場合の補償や対応などのために、1日自動車保険(300万円の車両保険などがある)にも入っている。