センサー専業のオプテックスと、不動産管理のザイマックス(東京都港区)は、ビルの看板の揺れなどを監視して、劣化によって落下する前に検知するIoTのサービスを開発した。今年度中の投入を予定する本格サービス時には、長距離かつ省電力で通信が可能で、IoTに向いた通信手段であるLPWA(Low Power Wide Area)に対応。複数の物件を幅広く効率的に監視できるようにする。

 今年2月に、家電量販店や外食チェーン店など、東京、愛知、大阪の約20カ所の看板に導入した。

 センサーでは角度と揺れの2つのデータを取得している。角度はX軸、Y軸の度数、揺れは地震などと同様の加速度である。これらのデータをクラウド上のサーバーに蓄積し、それらを分析した結果から落下の可能性が高いかどうかなどを判断する。

オプテックスとザイマックスが開発した看板監視サービスの構成
オプテックスとザイマックスが開発した看板監視サービスの構成

 現時点では測定データを蓄積している段階であり、「看板からとれるデータが時間の経過とともにどう変わるのか。機械学習も活用して、危険な状態になる前に何かしらの予兆を検知したいと考えている」(ザイマックス広報部の吉田泰基マネジャー)。

 ビルに設置された看板は屋外で雨風などにさらされており、雨水が入り込むなどで内部が腐食していても把握しにくい。

 看板はたいていの場合は高所にあるため、目視での検査が一般的だという。外壁であれば、建築基準法によって、竣工か改修などから10年を経過してから最初の調査の際に全面打診などで調査する必要がある。しかし、看板はそうした対象にもなっていない。

低価格かつ低電力な通信を採用

 現在は無線LANを利用してデータを収集しているが、本格サービス時には京セラ系の通信会社である京セラコミュニケーションシステム(京都市伏見区、KCCS)が提供するLPWAサービスの一種である「SIGFOX」に対応する予定だ。センサー本体に通信機能も内蔵する。

 SIGFOXは上り方向の帯域が毎秒100ビットで、少量のセンサー情報のやり取りに適している。1日140回までの低頻度の通信を想定しており、KCCSのプラットフォーム事業者に対する回線料金は端末1個当たり年1000円以内である。

 現時点で本格サービス時の形態は未定だが、開発したセンサーには一定量のメモリーが搭載されている。1日140回以内の通信でも異常を伝えるには十分な頻度と考えられる。

 オプテックスは「センサーと新たな通信を活用した、IoTの次世代のビジネスモデルを考案したり、提供したりしていきたい」(戦略本部開発センターの中村明彦センター長)として、LPWAの採用に積極的だ。

 看板の監視のほか、4月にKCCSが開いたSIGFOXの開業式では、コインパーキング向けの車両検知システムを披露した。ポール型の装置に車両検知のセンサーと監視用のカメラを組み合わせている。

 地表にループコイルなどのセンサーを設置することなく、どの位置に車両が入っているのかを検知できるようにするものだ。大きな投資が不要で、1車室から駐車場サービスを提供することも可能という。

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