京都府警察本部はビッグデータを活用した犯罪予測システムを昨年10月に導入し、半年で数件の検挙につなげる成果を上げている。今後はオープンデータの活用などで精度向上を目指す。

 「予測型犯罪防御システム」として、昨年10月から運用している。犯罪発生の理論を基に、京都府警管轄で過去10年間に発生した約10万件の事件情報を基にして、分析エンジンを開発した。

 京都府警察本部 刑事部刑事企画課捜査支援分析センターの岡本博昭所長補佐は、「犯罪が発生すると、そこを含む近接エリアにおいて、同様の犯罪が高い確率で起きるという理論を応用している」と説明する。犯罪の種類(罪種)によって異なるが、数日から数十日の範囲で起こりやすい状態が続くという。

 分析エンジンには、過去数年の犯罪情報に加えて、日々の犯罪情報を1日数回入力していく。ひったくりや性犯罪などの罪種、エリア、8時間単位の時間帯を設定すると、150メートル四方のメッシュで罪種ごとに発生確率が高い場所を色別に表示する。特に確率が高い場所はヒートマップで濃く表示する。そのうえで巡回する経路に任意で順番をつけて管理することも可能だ。システムは本部のほか、府下の25署、194交番のパソコンで利用できる。

罪種ごとに分析した結果に、巡回経路を設定した画面(仮想のデータで予測)
罪種ごとに分析した結果に、巡回経路を設定した画面(仮想のデータで予測)

 この結果を交番では日々のパトロールの指示を出す際の参考にしたり、それぞれの警察官が自ら分析したりして活用している。「現場からは、的確な情報が提供されると評価されている」(岡本所長補佐)。

 昨年11月には窃盗の確率が高いとされた地域を重点的にパトロールしたところ、駐車場でバイクを盗んだ犯人を窃盗容疑で現行犯逮捕したという。また、重点的にパトロールすることで「抑止できている犯罪があるかもしれない」(岡本所長補佐)。

機械学習やAIは採用せず

 京都府警は今回、NEC、立命館大学と共同で開発した。分析エンジンには機械学習や人工知能(AI)の要素を入れていない。それぞれの犯罪について過去データから、人が予測ロジックを作り込んでいる。「現時点ではどのようなロジックで予測結果を出しているのかについてブラックボックス化したくないと考えている」(岡本所長補佐)。

 今後、機械学習やAIの精度が向上し、実際に高いことが確認できれば、採用する可能性もあるという。米国では大きな地震が発生した後に余震が発生する場所を予測するアルゴリズムを活用した、犯罪予測のシステムが先行している。

 導入から半年が経過しており、分析エンジンの精度などについて検証する。「今後は犯罪予測の精度向上に活用できるオープンデータを見極めて採用していきたい」(岡本所長補佐)と展望する。

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