「平成28年熊本地震」において、リアルタイムに近い自動車の走行データ(プローブデータ)を使って、救援活動、支援活動をサポートする動きが広がっている。多様なデータを重ね合わせることで、利用価値を高める取り組みも始まっている。
新デジタルラジオ放送で「Amanekチャンネル」を放送するアマネク・テレマティクスデザイン(東京都千代田区)は、同局の特長である気象や道路状況などに関する様々なデータが表示できる放送用スタジオモニターの一部機能を一般向けに公開した。
「Google マップ」などで提供される道路の状態情報、都市部の交通状況の時間的・空間的変化を一目で把握できる「アマネクトラフィックスコープ」、降水強度、洪水リスクを地図画面上で一覧できる。
データはパイオニア、日本気象協会などが提供。交通シミュレーターの開発・販売を手掛けるアイ・トランスポート・ラボ(東京都千代田区)がマップを作成した。同社の放送でもこの画面を使って情報を伝えていく予定。
ITS(高度道路交通システム)の普及を推進する特定非営利活動法人のITS Japanは、「乗用車・トラック通行実績情報」を公開した。乗用車は直近3時間の通行実績、小型・大型トラックは前日1日の通行実績を表示する。乗用車、小型トラック、大型トラックの種別に実績を見ることもできる。
ホンダ、パイオニア、トヨタ、日産自動車、富士通、いすゞ自動車、ボルボグループ(UDトラックス)から情報提供を受けている。
グーグルは航空写真も公開
自動車メーカーも独自の情報公開を進めている。
トヨタは「通れた道マップ」を公開した。同社のクルマ向け情報サービス「G-BOOK」搭載車両から収集したプローブデータによる通行実績を基にしている。直近約24時間の通行実績情報を1時間ごとに更新する。
ホンダは、通信機能付きのカーナビ「インターナビ」利用者のデータを基にした「インターナビ 通行実績情報マップ」を、グーグルの「災害情報マップ」、ヤフーの「Yahoo!地図」を通じて公開した。
グーグルの災害情報マップでは、4月15日に熊本市内の市街地や益城町、御船町、木山川周辺などの上空から撮影した写真も公開しており、ホンダによる通行実績のある道路の情報と重ね合わせて見ることができるため、通行できない原因も把握可能だ。