IoT関連サービスを手掛けるエコモット(北海道札幌市)は人工知能(AI)を活用し、工事現場などピンポイントの場所の風速を予測するサービスを開発した。現場に設置した風速計の情報を基にAIで6時間後までの風速を予測し、サインボードに表示したり、スマートフォンにアラートを送信したりできる。現場の安全管理の意識が高まる中、建設業や交通機関、公的機関などに売り込む。
気象情報サービス会社のライフビジネスウェザー(東京都中央区、LBW)と共同で開発し、4月から本格的に販売を始めた。現地の風速をエコモットの提供する装置で計測し、クラウド上のサーバーに送信。風速情報とLBWの気象情報を基に、LBWが開発したAIがその場所の6時間後までの風速を10分単位で予測する。
風速の予測は、LBWが気象庁の許可を得て気象業務法に基づいて提供する「特定向け予報」である。「過去2週間分のデータを基にして、その地点の風速がどのように推移するのかをAIで予測する」(エコモットの開発部製品課の細川博之課長)。また、風速は地上10mの予測をしているが、地上50mなど高い場所に風速センサーを設置した場合には、高度を考慮して補正する。
現場に設置するサインボード「サインロイド2」は、通信モジュールを搭載した専用機で、風速計などのセンサーを接続し機能を追加していく。下図は中部国際空港の風速計のデータを基に今後の推移を予測したものだ。約1時間後に強風になる可能性が分かる。

このほか本社や事務所のパソコンで風速の推移を監視したり、設定した条件でスマホなどにアラートの電子メールを送ったりできる。例えば、建設現場などのクレーンは10分間の平均風速が秒速10mを超えると、作業を中止することが法令で定められている。そこで、予測の風速が毎秒8mの場合に「注意」、10mの場合に「中止」のアラートを送るといったことが考えられる。
エコモットは屋外に設置する業務用のセンサーとその通信・処理に強みを持つ。「災害復旧の用途での活用も想定するほか、温度や湿度のセンサーも活用することで熱中症予防のサービスも提供する」(loTセンシングソリューション営業部関西営業所の近田亮所長)。
利用料金は機器をレンタルするケースで月額10万円程度からを想定する。今後、2018年3月までに150セットの導入を目指す。