マーケティング支援のルグラン(東京都渋谷区)は気象データを基にした女性向けファッション提案サービス「TNQL(テンキュール)」を4月中にも開始する予定だ。1kmメッシュの天気予報と利用者のファッションの好みを基に、720パターンの中からその日にあったコーディネートを選び出し、イラストで提案する。将来はアパレル企業向けビジネスを展開して収益化を狙う。

コーディネート提案に当たり、利用者にまずファッションの好みを「インポートセレクト」「エレガンス」など5つのスタイルから選んでもらう。そこからその日の気象に応じてファッションを提案する。サービスは無料で提供する。
気象は、最高気温が5度未満から30度以上までの9区分、午前中の降水量が0mmから5mm以上の4区分、午後の降水量も同様に4区分で、その日の天気を144(9×4×4)パターンに分ける。気温は最低と最高の差の大きさも考慮している。そして5つのスタイルを掛けた720パターンの中から、当日の天気と利用者の好みに合ったコーディネートをイラストで提案する。地域は利用者が1kmメッシュで指定する。
利用者は提案が気に入らなければ、別のコーディネートを参照できる。また、翌日、明後日の予報に基づく提案を見ることもできる。TNQLは提案の中から何を選んだかを学習して、より好みに合う提案をしていく。
TNQLのターゲット層は20~30代を中心とした働く女性。営業などで人と会い、天気や気温、その日の予定を考慮してコーディネートを考えるのに毎朝苦労しているような人だ。
イラストは画像専門のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「Instagram」にイラストを投稿する40人に声をかけ、6人に絞り込んで発注した。サービスの仕様を伝え、例えば降水量が午前は1mm以下で午後は0mmになる場合は、折りたたみ傘を持つ絵を描いてもらうようにした。
課題解決しながらデータ収集

利用者が選んだコーディネートや実際に服を着た自分の写真をカレンダー形式で残せる「コーデログ」機能も備える。「同じ人に別の日に会う場合、以前着た服は着たくないという女性視点の機能だ」と山辺仁美代表取締役共同CEOは語る。
ルグランは同機能で、利用者のファッションの好みをより的確に捉えることができる。アパレル企業向けに、利用者が好きな素材や色合いに基づく服を紹介するターゲティング広告商品などを提供できる。利用者の地域と気温が把握できるので、「寒の戻りが来た地域の利用者向けに冬物セールを告知する」といったことも想定できる。泉浩人代表取締役共同CEOは「ユーザーの課題を解決する形でデータを収集できる方法がコーデログだった」と説明する。
気象データはハレックス(東京都品川区)から提供を受けている。ルグランとハレックスは以前から、気象データを天気予報以外に活用できないか探ってきた。当初はアパレル企業の需要予測への活用を検討したが、商品の売れ行きは気象以上に、店舗の競合状況やチラシを中心としたプロモーションの影響が大きかったという。生産計画への活用となると長期予報の精度は低く、業績を大きく左右する決断に使うのは難しいのが実情だった。そこで、人々の生活にインパクトを与えるサービスを作ろうとTNQLの開発へ方針転換をした。