クルマの運行管理サービス「DriveOps」を提供するスマートドライブ(東京都品川区)は今夏、ドライバーの危険運転を自動検知して管理者が動画像を確認できる機能を加える。本機能の追加を機に、同社はサービス利用車両のドライブレコーダー映像も入手できるようになる。数万台規模の車両から得られる動画から渋滞や施設の駐車場の混み具合などを推定して、外部に提供する動画解析プラットフォームの構築へ第一歩を踏み出す。

 DriveOpsは、クルマの状態を自己診断するために使うインターフェースであるOBD2または、シガーソケットに専用端末を接続。速度やエンジン回転数、スロットルの開度、水温や電圧、燃料の残量などのデータ(シガーソケット版は一部)を取得し、企業の車両管理者は全車両とドライバーのGPS(全地球測位システム)走行データ、移動ルートをリアルタイムに把握できる。また、安全運転の度合いをスコア化して、指導に役立てることができる。

 今夏にDriveOps端末と市販ドライブレコーダーの連携を実現させ、危険運転時の動画を確認できる機能を加える。管理者が確認できるほか、ドライバー自身もスマートフォンアプリで確認できる。具体的には、ドライバーが急ブレーキを踏んだり、急ハンドルを切ったりした前後約10秒のドライブレコーダーの動画像を機械学習で解析。どんな状況だったのかパソコンの管理画面とアプリで把握できる。月額の追加料金は未定。

ドライブレコーダーと走行データを掛け合わせる動画解析プラットフォームのイメージ画面
ドライブレコーダーと走行データを掛け合わせる動画解析プラットフォームのイメージ画面

 市販のドライブレコーダーなどでは、事故時の衝撃を検知して、その前後の映像を別途保存できる機種もある。「市販のドライブレコーダーではすべての危険運転を特定できないが、スマートドライブのデバイスと連携することですべて特定できる」ことが特長と、スマートドライブの北川烈代表取締役CEO(最高経営責任者)は話す。

 「将来的には、ドライバーが信号を無視したかどうかも分かるようになる。ドライブレコーダー動画像から信号機が赤のときに走行しているかどうかが分かれば、実現できる」(北川代表)。

数万台の出荷を見込む

 DriveOpsの料金は、クルマ1台当たり月額1480円からで、安全運転診断付きのサービスになると1台当たり月額1980円。初期費用は1台当たり4980円(シガーソケット版)、または8800円(OBD2版)で、一般に使われているデジタルタコメーターなどと比べて初期費用が最大で20分の1、トータルコストで見ると2~3分の1になる。

 これまでOBD2版は1万台近く販売されている。シガータイプは現在数千台だが、今年は数万台の出荷を見込んでいる。シガータイプ版はOBD2版と異なり対応機種が限定されないことに加えて、OBD2版で収集したデータからの推定により、シガーソケット版でも大抵のことが分かるようになったからだ。

 DriveOpsの普及にとって追い風もある。経済産業省が推進する「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」の対象サービスに認定された。この制度を活用してDriveOpsを導入する事業者は最大100万円の補助が受けられる。「初期費用を含めて3分の2が補助されるために、月額の利用料は最大でも月額600円ほどになる」(北川代表)。

 スマートドライブは今年、複数の事業会社を対象に第三者割当増資を実施し、資本業務提携を締結した。総額10億円超の資金調達を予定している。調達資金を使って、端末の性能を上げたり、新しいソフトの開発に充てる計画だ。

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