中古車買い取り販売大手のガリバーインターナショナルは事業における人工知能(AI)活用を加速している。約5社のAIソリューション開発会社と連携して、売買価格の予測やクルマの画像認識などに取り組む。

クルマジロのアプリ画面
クルマジロのアプリ画面

 例えば、AIを活用した中古車価格の予測システムを開発し、個人間の中古車取引のスマートフォン用アプリの「クルマジロ」に活用している。

 昨年9月に開始した同アプリでは、中古車の取引価格の情報を効率的に学習して、売り手と買い手双方に適切な価格を提示することを目指す。

 クルマの売り手にはメーカー、車種、グレード、年式、走行距離などを効率的に学習したうえで、それらを考慮した価格を予測して提示。出品者がそれを参考に値付けできるようにして、売買成立を支援する。AIの活用で、どの要素が価格に影響するのかを過去の取引から割り出したうえで要素の重み付けをしていく。

 売り手にとっては、「安く売りすぎたり、高すぎて売れないといったことを避けて納得感を得ていただく」(新規事業開発室の荻田有佑氏)。

 買い手向けには、商品検索結果を、AIで算出した市場価格と比べて割安な順に表示する機能を提供。欲しいクルマが、妥当な価格を設定しているかどうかを判断できる。

 価格予測システムはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で提供して、技術的には社内外のほかのサービスでも利用できるようにしている。

 今後AIを中古車の需給判断にも活用していく考えだ。クルマの取引データだけでなく、日経平均などの経済指標、鉄の相場などの商品指標、エリアの特徴や海外の特定の地域の需要などを考慮して予測していく。

ガリバーは買い取りと販売の両価格をAIに推測させることでマッチング率の向上を目指す
ガリバーは買い取りと販売の両価格をAIに推測させることでマッチング率の向上を目指す

データ専門部署を経営企画に設置

 ガリバーが個人間取引に乗り出す背景には、収益源の多様化以外に、AI予測の精緻化という狙いもある。

 「これまでの中古車買い取り販売ではなく、消費者間での取引というデータから何かしらのサジェスチョンを得ていきたい」(新規事業開発室の北島昇室長)。

 AIやビッグデータ、IoTを活用する体制も全面的に見直した。昨年11月にデータ活用専門部隊である「3Dルーム」を経営企画部門内に設置。約8人のメンバーが、新規事業開発室などと連携してAIやビッグデータを活用したサービス開発に取り組んでいる。IT部門やWebチームなどとも密接に連携し、全社を挙げてAIへの取り組みを強化する。

この記事をいいね!する