ほたる(東京都文京区)は、IoT(Internet of Things)対応の水浄化・循環機能付き製品の開発を来年の発売を目標に進めている。IoTによりセンサーで水流などのデータを取得し、フィルターの消耗度を推定する。予知保全や製品の開発・改良に生かせる可能性がある。

 「水道も電力も通っていない場所でも、キャンピングカーやトレーラーで移動できるタイニーハウス(小さな家)を住み家にして、身の回りのモノを減らしてシンプルに暮らす──」

 ほたる取締役CTO(最高技術責任者)の奥寺昇平氏は、同社の事業を通じて将来は「Living Anywhere」と言える生活を実現したいと話す。

 同社は水浄化・循環機能を備えた、様々な個人向け製品の開発を進めている。現在は、オフィスや家庭などの「日常」、キャンプや野外イベントなどの「非日常」、災害時の「防災」での利用を想定している。

ほたるはSXSWでポータブルシャワーをデモして注目を集めた(同社サイトより)
ほたるはSXSWでポータブルシャワーをデモして注目を集めた(同社サイトより)

 その具体例がコンパクトなシャワーだ。浴びた水を浄水して再利用することで、20リットルの水で50回のシャワーを浴びることができ、800リットルの水が節約できるという。

 2016年3月に米テキサス州オースティンで開催されたテクノロジー系のイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に試作品を出展。ここで様々な用途の要望が寄せられ、米メディアに取り上げられるなど大きな反響を得た、今注目の企業である。

IoTで水質モニタリング

 奥寺氏は「水を浄化するフィルターが低コスト化し、水質のモニタリングがセンサーとIoTで簡単にできるようになった」と、製品開発を進める技術的な背景を語る。

 一般的な水道であれば、河川の水や地下水をろ過する集中的な処理施設があり、フィルターは人が確認して交換などの管理ができる。一方、ほたるが目指す個人向け製品ではそうしたプロによる管理はできない。

 シャワー、料理、洗濯、飲料用などの用途、住宅内、野外などの利用場所によってフィルターが消耗するまでの時間は全く異なる。3カ月に1回の交換といった定期保全ではなく、水質が安定しなくなる前にフィルターを交換できるようにする予防保全が求められる。

 そこで、水の流量などのデータをIoT向け通信サービスでクラウドに送信し、消耗度を推定できるアルゴリズムを開発中だ。IoTデータは、顧客の利用方法の把握による製品の開発・改良や、営業、マーケティング戦略の立案などにも活用できるだろう。

 実現は簡単ではない。奥寺氏は「アルゴリズム開発にはまずデータをためる必要があるので、利用数をどう確保するかが直近の検討課題」だと話す。協力先を集めて2017年内には数十台レベルで稼働させる方針だ。

 ほたるは2014年10月に創業。孫泰蔵氏が社長兼CEO(最高経営責任者)を務めてスタートアップ企業への投資・育成を手がけ、成長をサポートするMistletoe (ミスルトウ、東京都港区)の支援を受けている。Living Anywhere、水浄化・循環製品のコンセプトは、同社やスタートアップ支援のQUANTUM(東京都港区)などとともにコンセプトを検討してきた。

IoTで水処理装置のフィルターの消耗を検知する
IoTで水処理装置のフィルターの消耗を検知する
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