新デジタルラジオ放送「i-dio」は今年3月、東京、大阪、福岡、北九州で放送を始めた。i-dio放送局の1つである「Amanekチャンネル」は、ビッグデータと位置情報を活用してドライバーを支援する情報を1kmメッシュの単位できめ細かく伝えるのが特長だ。7月には全国放送を始める。

日本気象協会内にあるAmanekチャンネルのスタジオ
日本気象協会内にあるAmanekチャンネルのスタジオ

 i-dioは、地上アナログ放送の終了で空いた周波数帯を使う放送だ。対応スマートフォン、またはスマホと連携するチューナーを利用して視聴する。映像、音響、データなどデジタルデータなら何でも放送波に乗せられるので、各放送局が番組企画に工夫を凝らす。基本的には無料で受信できる。

 Amanekチャンネルを運営するアマネク・テレマティクスデザイン(東京都千代田区)は3月から、1日2時間の番組を試験放送している。今井武代表取締役CEOは、「放送と通信、位置情報(GPS)とビッグデータを融合した、今までにないドライバー向けのデジタルラジオ番組を提供したい。ドライブをもっと楽しく、豊かなものにしていくとともに、近年あちこちで多発している災害に対しても、安全な運転ができるように支援したい。そのため、ドライバーを空から見守ることができるように、ドライブに必要な様々なデータを地図上にマッシュアップし、可視化できる放送用スタジオモニターを作った」と話す。

数万カ所でおよそ15分後の天気予報を自動作成

 Amanekの番組では音楽なども流すが、日本気象協会の気象予報士が、気象や道路状況などに関する様々なデータが表示できる放送用スタジオモニターの画面を見ながら、ドライバーに語りかけるのが特長だ。「いわゆるゲリラ豪雨が発生しているので、ここのエリアの道路が混雑しています」といったことが解説できる。

気象予報士が活用している放送用スタジオモニター画面
気象予報士が活用している放送用スタジオモニター画面

 地図上にエリアごとの道路混雑データと降雨データをマッシュアップできるからだ。様々なデータとは、気象庁のデータやパイオニアが提供するクルマのプローブデータ、洗濯指数や体感温度指数などの各種指数、ドライブスポット情報、Twitterの投稿データなどだ。こうしたローカル情報に関しては、全国7つのエリア別に放送をしていく。

 目玉は、1日24時間、15分おきにおよそ15分後の天気予報を自動でコンピューターの音声が解説するエリア天気予報だ。現在、エリアの数は約2000カ所だが、今年7月に始める本放送では、全国1kmメッシュのエリア別におよそ15分後の天気予報を出せるようになる。エリア数は数万に達する。

 エリア別天気予報が使うのは、気象庁の予報データと日本気象協会の独自予報データだ。これらの予報データを基に、日本気象協会が開発したロジックによって全国1kmメッシュごとに、およそ15分後の状況を音声で解説する。

 例えば、1時間の降水量が20mm以上で気温2度超の場合を「強い雨」と判定。「まもなくこの周辺では、強い雨が降る見込みです。強い雨によって見通しが悪くなる恐れがありますから、注意して走行してください」とコンピューターの音声がドライバーに解説する。

降水量や気温の気象条件によって、コンピューターの音声がおよそ15分後の状況を自動で解説する
降水量や気温の気象条件によって、コンピューターの音声がおよそ15分後の状況を自動で解説する

 もし、時間降水量が50mm以上で気温2度超の場合は、「非常に激しい雨」との判定になり、生番組中でも割り込んで伝える。「非常に激しい雨となる見込みです。そのため、車の運転は危険となる恐れがありますので、安全な場所に待避してください」と警告する。自動でコメントする現象は、大雨、強風、風雨、大雪、吹雪、竜巻の6種類。日本気象協会では、雨や強風、大雪などで独自の判定条件を持っている。例えば、風速10m以上で「強風(やや強い風)」と自動で判定する。

 今井CEOはホンダのカーナビゲーション「インターナビ」を立ち上げ、2015年に退任するまでグローバルテレマティクス部部長などを歴任した。2011年3月11日に起こった東日本大震災の際に、通信障害でカーナビに大津波などの災害情報が届かなかった事態に遭遇し、災害時でも多くの人に大量の情報を送ることができるデジタルラジオ放送に注目して、Amanekチャンネルを立ち上げた。

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