大日本印刷(DNP)はクレジットカード会社向けに、明細書に記載された企業名の業種やブランドなどの情報を付加するサービスを始めた。顧客が購入した店舗のカード会社との契約によっては、店舗の詳細情報が得られない場合がある。独自データベースで情報を補って、カード会社が顧客に商品やサービスをより正確にレコメンドできるようにする。
「DNP 決済データへの加盟店情報付加サービス」として今年2月に開始した。3月にはクレディセゾンが採用を予定しているという。
DNPはクレジットカードは顧客のカードと店舗の決済でそれぞれ発行元や契約先が異なる場合があることに目をつけた。例えば、ある専門店が三井住友カードと契約して「VISA」の加盟店になっていた場合、セゾンカードを持つ顧客が「VISA」で決済しても、セゾンはその専門店の最低限の情報しか得られない。
こうしたケースであっても、DNPに明細データを送信することで、属性情報を付与して戻してくれる。業種は詳細カテゴリーで102、ブランドは約1万2000のデータを用意する。
詳細の属性情報が付加されることで大きく2つのメリットがある。
まずは各顧客がどの商品やサービスにお金をかけているのかが把握でき、嗜好やライフスタイルも推測しやすくなる。「案件ごとに、多くの顧客の中からどの人やグループに重点的に訴求するのかを判断しやすくなる」(DNP 情報イノベーション事業部 C&Iセンター デジタルマーケティング本部の天本直也本部長)。
例えば、「ネット店舗での購買と特定ジャンルの飲食店での利用が高いとカードの定着率か高い」といったランク付けや「アパレルで月Y円購入している人は富裕層」といった顧客像のペルソナ作成が可能となる。また、「旅行代理店の利用頻度が高いとXの購入額が高い」といった相関関係を見いだしやすくなる。
カード業界では収益性の高いリボやキャッシングの利用を促進しており、契約に結びつく顧客像や相関関係を見いだすことにも活用できる。
サービスの料金は取り扱い高に応じて設定しており、初期費用300万円で月80万円などである。

店舗DBの構成は随時更新
今回、カード業界のビッグデータ分析に強みを持つスタートアップのギックス(東京都港区)が店舗情報のデータベース情報とマッチングのアルゴリズムで協力した。カード会社から送信されてきた決済情報を基に、対象となる店舗情報データベースのマスターを生成する。
マッチングの割合については「8割以上を目標」と掲げているが、「トライアルでは93~94%を達成できている」(DNP 情報イノベーション事業部 C&Iセンター デジタルマーケティング本部 コンサルティング部 コンサルティンググループの田部井俊輔氏)という。
今後、新たな項目情報も追加していく。ギックス データ分析チームの佐谷岳穂シニア・データアナリストは「アルゴリズムや属性情報は随時更新しており、タグ情報も追加していくことができる」と説明する。
店舗の場所や高額ブランドなどの商品やサービスであることのフラグ、決済チャネルなどの情報を付加することを検討している。