首都圏で時間貸しの駐輪場を運営する芝園開発(東京都足立区)は、IoTを活用して、ビッグデータによる放置自転車の管理に乗り出した。巡回監視員にタブレットを配付して、放置自転車の画像と位置をクラウドで集約。データに基づいた放置場所の把握と対策立案を可能にした。

 千葉県柏市から2016年に受託した自転車の管理サービスにおいて、巡回監視員がタブレットを利用。放置自転車の個体管理システムを活用している。

放置自転車が多い場所をヒートマップで示した(画面はイメージ)
放置自転車が多い場所をヒートマップで示した(画面はイメージ)

 自転車の画像データに個別のID(識別符号)を付けたうえで、全地球測位システム(GPS)による位置や時間を送信。データに基づいて、放置自転車を移動させるためのトラックも自動で手配する。

時間帯など条件別の分析結果(画面はイメージ)
時間帯など条件別の分析結果(画面はイメージ)

 これらの位置や時間のビッグデータをヒートマップとして可視化が可能になった。芝園開発 管理部部長の市川桐多取締役は、「これまでどの場所どの時間帯に放置自転車が多いということは経験からわかっていたが感覚的なものであった。これを場所や曜日、時間帯ごとに表示して分析できるようになった」と話す。

 各監視員が自転車の利用者にどのような注意喚起をしたのかのデータも取得し蓄積している。こうしたデータを基に自治体に対して改善提案を行っていく。

 芝園開発は放置自転車だけでなく、駐輪場の営業状況など一連のビッグデータ活用にウィングアーク1st(東京都渋谷区)のBIツールを活用している。駐輪場の顧客の利用状況データを活用し、収支状況のデータをヒートマップなどで常に分析できるようにしているのだ。

 例えば、「10時間当たり110円だった料金を最初の10時間は100円とし、その後は課金の単位を変えて5時間当たり50円」といった変更を行っている。わずか10円の変更だが、売り上げが5割以上増えることがあるという。こうした施策を打って、赤字の施設を黒字化するなどしている。

 今回の放置自転車の取り組みは、芝園開発側にとっても、駐車監視員の配置の最適化が可能となる。また、同社が自治体の自転車管理案件を獲得する際の差異化のポイントともなる。

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