KPI(重要業績評価指標)経営で再建を進めるメガネスーパーが、その活用を深化させている。2016年4月期には営業、経常、純利益のすべてが9年ぶりに通期で黒字となった。
メガネスーパーは2012年に投資ファンドのアドバンテッジパートナーズの傘下に入りKPI重視の経営に転換。POS(販売時点情報管理)データを本社基幹システムで集計し、BIツールで分析可能にしている。
KPIのチェックは朝6時30分に始まる。全店合計のKPIの情報が全社員にメールで配信。その後、1時間ごとに各店舗のKPIの状況や全国順位などが配信される。KPI活用を徹底させるために週1回のアクション会議を開催している。経営陣のほか、ブロックや地区、店舗の責任者が全国から約150人集まってくる。こうした全社でのKPI活用が2015年度の9年ぶりの黒字を支えた。
そこで、もう一段階踏み込んだ活用に乗り出した。従来は本部側で設定したKPIを各店舗が達成するという形だったが、店舗側でそれぞれのKPIを検討したうえで、値を修正して登録できるようにした。「値を自らが設定することで、店舗側にコミットしてもらうという意味合いがある」(事業推進室の斎藤満マネジャー)。
店舗の利益重視のKPIを復活
そして、売り上げよりも利益重視を明確にするため、KPIを見直した。
「プラス1比率」は同一の顧客に複数の製品を購入してもらったかどうかの指標だ。従来は購入時のみだったものを、昨年5月からは30日間まで遡ってクロスセルの有無を測るようにした。「商品のお渡し時や調整に来店された際に、ニーズを聞き出したりセールの情報を伝えたりして別の商品も薦めてもらう」(斎藤マネジャー)のが目的だ。


薄くてゆがみのない老眼用のレンズなど、付加価値の高い「プレミアムレンズ」の販売にも力を入れている。昨年12月には、40歳以上の顧客に対して、遠近両用などの「累進レンズ」を販売した割合を「カバー比率」として設定した。カバー率は以前使っていたが、老眼の若年化などから5歳低く設定し復活させた。顧客満足度の指標として、再来店の「リピート率」も復活させる計画だ。
効果は持続しており、2017年4月期には売上高180億円(前期比14.6%増)、営業利益8億円(同52.9%増)を見込む。中期経営計画では、2020年4月期に売上高239億円、営業利益23億円を掲げており、KPI活用でさらなる攻めに転じる必要がありそうだ。