クボタはデータ活用による精密農業支援として、圃場を5~20m四方のメッシュ単位できめ細かく管理する「KSASレイヤーMAP」を発表した。メッシュ単位の収穫量や食味、生育などのデータを見ながら、圃場全体の収穫量向上や食味の改善を進められるようになる。

 クボタは5ha以上の圃場を持つプロ農家(担い手農家)を対象に、データ活用による農業のソリューションを提供しているが、さらに進めて日本型精密農業の確立を目指す。

 農業機械とICTを利用して作業・作物データを収集・活用する営農・サービス支援システム「クボタ スマート アグリシステム(KSAS)」において、これまでの圃場1枚単位から、5~20m四方のメッシュ単位で管理できる「KSASレイヤーMAP」を来年販売する。土地情報(土質、土壌肥沃度など)や農作業の情報(施肥量や作業経路など)、作物の情報(生育状況や食味、収量など)をGPS(全地球測位システム)による位置情報と関連付けてMAP化するものだ。PC画面上でメッシュ単位の収穫量や食味、生育などのデータを見ながら、メッシュ単位で対策を講じることができる。

圃場をメッシュ単位でセンシングし、食味や収量、施肥、生育などを見える化するKSASレイヤーMAPのイメージ
圃場をメッシュ単位でセンシングし、食味や収量、施肥、生育などを見える化するKSASレイヤーMAPのイメージ

 例えば米の収穫時に収集できるメッシュ単位の収穫量と食味データを基に、次の作付け時にメッシュ単位でPDCAサイクルを回せるようになる。さらに生育や土壌の肥沃度、土質などのデータも収集・活用できるようになる。

 クボタ専務執行役員の佐々木真治・研究開発本部長は、「国内では、農業就労者が高齢化して離農によって大幅に減少するなか、5ha以上の担い手農家は増加傾向にあり、圃場の大規模化が進んでいる。全耕地面積中、担い手農家が占める割合は現在の58%から2023年には80%に拡大すると想定している」と説明する。

 担い手農家が抱える課題としてクボタは、多数圃場管理の問題や生産コストの削減、生産品の高付加価値化、人材育成(ノウハウの伝承)、販路開拓・拡大を挙げる。KSASレイヤーMAPは、その課題解決策に繋がるとしている。

 クボタはKSAS進化の方向性について、3つのステップで進めると説明してきた。KSASレイヤーMAPは、日本型精密農業の確立を目指すステップ2に位置づけられる。ステップ3は人工知能(AI)を活用した高度な営農支援システムの構築になる。

 生育データは、ドローンを飛ばして撮影することによって、その画像からデータ化する。今年6月から「リモートセンシングドローン」の試験運用を開始する予定だ。撮影高度は100m、飛行時間は15分、7haの圃場を撮影することができる。メッシュ単位で生育状況が異なれば、その状況に応じて施肥の量を変える対策を講じることができるようになる。

 KSASの加入者数は約5000人。今年度はそれを約6000人に引き上げる目標だ。

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