スマートフォン向けの配車アプリを利用し、タクシー相乗りが割安になるサービスの実証実験が1月24日に始まった。国土交通省は実験を通してマッチング方法や運賃水準を検証し、本格的な導入に向け検討する。大和自動車交通グループと日本交通グループが参画している。
大和自動車交通の配車アプリ「大和自動車交通タクシー配車」は1カ所の乗車地から同方向の目的地に向かう複数の利用者(最大3人まで)を乗せる「この指とまれ」式を採用する。7日前から運送開始時間の45分前まで申し込みが可能だ。
アプリの使い方は、相乗りを募集する最初の利用者がまずアプリ上にスレッドを立てる。それを見た人が乗車地や方向を確認、乗車したいということであれば応募してマッチングが成立する。運送開始の25分前に相乗りが確定すると、運賃が確定する。万一交通事情によって想定より時間がかかっても、従量課金とはならず、運賃は変わらない。同社によると、乗車人数によるが運賃は約3~4割安くなる。
マッチングが成立しない場合は(1)目的地の方向が違う、(2)1人で乗車したときより安くならない、(3)性別がマッチしないときだ。(3)の場合、事前に登録した性別を基に同性をマッチする。登録時に「設定なし」とすると、男性にのみマッチされ、女性にはされない。応募者が女性の場合、女性専用車となる。
実証実験の開始後、1日10件弱の成立数があるという。「日本人は他人と乗車するのに抵抗があると言われてきた。だが乗務員に対するヒアリングで、相乗りした利用者からは『スマホを見ながら乗っているだけで電車と同じだ』という感想を聞いている」(大和自動車交通)。
一方日本交通のアプリ「相乗りタクシー」は、任意の場所で同方向へ向かう、乗降車地が違う利用者2人を1台のタクシーにマッチングする。双方が条件に合意すると、アプリ経由で、位置情報などを活用した配車システムが近くのタクシーを自動で手配して利用者を順番に迎車する。乗車まで車両の位置はアプリ上の地図にリアルタイムに表示される。

運賃を自動で算定
どちらも運賃は、相乗りする利用者の最初の乗車地から最後の降車地までの走行距離に応じて算定した金額を、単独で乗車した場合の推計走行距離に応じて案分して自動で算定する。
例えば、夜間に錦糸町で3人が同乗してそれぞれ浦安、船橋、津田沼で降車する場合だと、相乗り運賃算定の基準額は1万5660円。浦安で降車する人は単独利用だと5960円になるところ、3690円になる。船橋だと8600円が5530円に、津田沼だと9970円が6450円になる。支払いはクレジットカード決済だ。
実証実験は東京23区、三鷹市および武蔵野市で乗車する利用者が対象。3月11日まで。