※「マーケティング基礎読本増補改訂版」(2017年5月28日発行)の記事を再構成

製品を作る際、中核となるベネフィットを考え、その実現のために何が必要か考える。ベネフィットを中核に、必要な価値を分かりやすく配置したのが3層または5層モデルだ。自社にとって使いやすいオリジナルなモデルに進化させることも求められてくる。

 マーケティングの4Pにおける製品(プロダクト:Product)とは、例えばクルマ、ビール、シャンプーなどの形ある商品自体のことだけを指すのではない。市場の欲求やニーズに応えることのできるものは、何でも製品になり得る。

 形ある商品自体以外にも、サービス、経験、イベント、人、場所、情報などは、さまざまなプロダクトに当たる。また、顧客は、製品の特徴や品質、そこにかかわるサービスと価格の適切さを総合的に捉えて、プロダクトとして判断するのである。

 マーケターがプロダクトについて検討する際に、考えなければならない基本的なことは、そのプロダクトの中核にある「ベネフィット(便益)」、言い換えると「うれしさ」が何かということである。プロダクトの中核ベネフィットを実現していくために、必要となる製品スペックやサービスはどのようなものになるかという視点で、プロダクトの総体を設計する。

 そうした製品の価値を分解して整理したものが、3層あるいは5層モデルといったものになる。いずれのモデルを採用するかは市場環境や、扱いやすさなどをかんがみて選択すればよいが、いずれのモデルでも、中核の第1層には「ベネフィット」が据えられている。

製品の価値を分解して整理する

図1 製品価値3層モデル
図1 製品価値3層モデル

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