デジタルマーケティングの今を理解するのに欠かせない最新トレンドのキーワードを紹介事例と共に解説。大ヒットムックから改めて紹介します。(※「最新マーケティングの教科書2018」(2017年12月14日発行)の記事を再構成)

マイクロインフルエンサ―とは、広く大衆にリーチはしないが、特定のカテゴリーやコミュニティーの中で影響力を発揮するインフルエンサーのこと。信奉者とのコミュニケーションが活発で、一般のインフルエンサーに比べてエンゲージメント率が高いのが特徴だ。もっともステルスマーケティングと取られてもおかしくない投稿もあるため、今後、ルール作りが必要になりそうだ。

局所的に影響力を持つSNSユーザー ステマ的な投稿には懸念あり

 マイクロインフルエンサ―とは、数十万、数百万のファンやフォロワーを擁するインフルエンサーほど大衆にリーチする影響力はないものの、特定のカテゴリーやコミュニティーにおいては信奉者がいて影響力を発揮する、いわば“プチ”インフルエンサーのこと。接頭語の「マイクロ」は相対的な概念で、フォロワー何人以下と明確に定義はされていないが、万単位には満たない水準を指すケースが一般的だ。

 このマイクロインフルエンサーは、ファンとのコミュニケーションが活発で、ファンやフォロワー数に対するいいね!やコメント、シェア、リツイートの件数、すなわちエンゲージメント率が高いのが特徴だ。一般的にファンやフォロワー数が増えるとライトなファンが増え、エンゲージメント率は下がっていく。そこで、マスではないが活性化したコミュニティーを築き、高いエンゲージメント率を誇るインフルエンサーにアプローチしようという考え方が出てきたことが、昨今、マイクロインフルエンサーが脚光を浴びている理由である。

 ジャンルごとに影響力を持つインフルエンサーを紹介する代理店もあるが、ステルスマーケティングには注意したい。ブロガーイベントなどでは、「A社のイベントに招待されて参加している」旨などを明記する「関係性の明示」が周知徹底されるようになった。だがInstagramでは写真がメインで長い文章はそぐわないため、曖昧になっているケースが散見される。十数個並べたハッシュタグの中によく見ると、「#PR」と記しているケースもある。それで「明示」といえるかどうか、ルール作りが必要になりそうだ。

参考になる本
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『デジタルマーケティングの教科書』
牧田幸裕著
東洋経済新報社 2000円
従来型マーケティングが依拠してきたフレームワークが、デジタルマーケティングによってどう進化するのかを、全体的に分かりやすく示した書。マイクロインフルエンサーを活用する前に、マーケティングの基本を知りたいという読者に役立つ。