デジタルマーケティングの今を理解するのに欠かせない最新トレンドのキーワードを紹介事例と共に解説。大ヒットムックから改めて紹介します。(※「最新マーケティングの教科書2018」(2017年12月14日発行)の記事を再構成)

広告のコンテクスト(文脈)とは、ターゲットとなる消費者を取り巻く環境や状況、背景のこと。サントリーのプロモーション動画が、B級アダルトビデオをモチーフにしたような作風で「炎上」したように、文脈によっては、通常ならば問題なく使える言葉もNGワードになったりするので注意が必要だ。

 例えば、喜びにあふれている人に向けて打ち出したある商品やサービスに関わる広告メッセージが、体調不良に苦しんでいたり悲しみに暮れていたりする人にも「自分たちに向けてのメッセージ」と受け止められた場合、不満が出るだろう。通常は禁句、NGワードに該当しないような言葉、フレーズであっても、使う状況によっては不謹慎になり得る。TPOに合わせた丁寧なメッセージ作りが必要なゆえんだ。

 サントリーが発売した新ジャンル商品「頂(いただき)」のプロモーション動画が2017年7月、炎上した。問題になった動画「絶頂うまい出張」は、出張先で出会った現地の女性と居酒屋で飲んでいる設定。女性陣がやたらと棒状の食べ物を口にしたり、「コックン、しちゃいました(ハート)」と言わせたりといった具合に、B級アダルトビデオをモチーフにしたような作風で、同社Twitterアカウントには多数の批判レスが付いた。

 炎上の原因は、コンテクストを根本的に読み間違えたことにある。深夜番組などを引き合いにサントリーを擁護する意見も一部にはあるが、深夜番組は、子どもも寝ている時間帯ゆえにお色気番組が許されるという前提共有が広くなされているからこそ成立するのであり、そうした約束が醸成されていないところへ唐突にAVもどきの動画を持ち込めば、批判の声が上がるのは当然だ。

 広告クリエイターは本来、こうした文脈、空気読みに長けているプロ集団のはずだが、最近では一部で、文脈を読む力が衰えてきたのかもしれない。

参考になる本
ネット広告の炎上を防ぐには「文脈の理解」が不可欠(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
『顧客体験の教科書』
ジョン・グッドマン著、畑中伸介訳
東洋経済新報社 2600円
顧客対応をきっかけにサービスを展開し、顧客からの信頼を勝ち得ることで、その後の好循環を得るという「顧客サービスの戦略構築」を提唱。多くの事例とデータを基に、何をすべきかという具体的な取り組みを解説する。文脈重視は言わずもがなである。日本の読者に向けての訳者による充実した解説が付いている。