デジタルマーケティングの今を理解するのに欠かせない最新トレンドのキーワードを紹介事例と共に解説。大ヒットムックから改めて紹介します。(※「最新マーケティングの教科書2018」(2017年12月14日発行)の記事を再構成 )
「この動画像は○秒後に自動的に消滅する」……そんなアプリが人気になっている。Instagramのストーリーズ機能、動物なりきりアプリ「SNOW」がそれだ。自社ECサイトに誘導したり、スタンプを配信したりと、企業の活用も進んでいる。
一定期間経過後に、投稿したメッセージや動画像が消える特徴を持つSNSのこと。エフェメラルは、「はかない」「短命な」の意味を持つ。
このジャンルは、相手に送った画像が10秒で消える「スナチャ」こと「Snapchat」がグローバルではリードし、国内でもブレークする兆しはあった。ただし国内では、2016年初頭から若い女性の間でカメラアプリ「SNOW」が一躍人気を集めていた。さらに、Snapchatの特徴だった写真や動画を一つのアルバムのようにまとめてシェアできる「ストーリー機能」が同年8月、Instagramに搭載されたことで、国内はこの2つのアプリの存在感が増している。
“動物なりきり”アプリが人気 通常のInstagramより気軽に投稿
SNOWは、韓国NAVER傘下でLINEも出資する企業が運営するアプリ。撮影した顔写真を自動認識して、動物の耳や鼻などを付けて変身できる豊富なスタンプ装飾機能や、2人で撮った写真の「顔交換」ができたりする機能が、10~20代の女性から支持されている。
送り合った写真や動画は24時間後に自動で消えるが、SNOWは加工アプリとして利用して、動画像はTwitterやInstagramに載せるケースが多いようだ。従って必ずしも消えることが利用の目的にはなっていない。
Instagramのストーリーズはどのように使われているか。
例えば、東京・渋谷で友達と遊んだ場合、渋谷の街並みの写真、映画館の前で撮った写真、ボウリングをプレーしている動画、食事の写真、カラオケで踊っている動画など、その日に撮った写真・動画にスタンプやペンで落書きなどのエフェクトを加え、まとめてアップする。こうすることで「今日の私」をビジュアルに友達に伝えることができる。
企業の利用も始まっている。ローリーズファームやグローバルワーク、ヘザー、ニコアンドなどのアパレルブランドを展開するアダストリアは、ストーリーズに数枚の画像をアップしてスライドショーのように表示し、タップするとその掲載商品ページに飛ぶようにしている。
SNOWスタンプ施策が人気
一方のSNOWは、20~30代女性がターゲットの商品を中心にスタンプを配信したりフォトコンテストを実施したりするキャンペーン利用が進んでいる。
“動物なりきり”アプリの人気に目を付けたのが、ロッテの人気チョコレート菓子「コアラのマーチ」。「コアラのマーチ×SNOWコラボ」を16年暮れから17年3月まで、3つのイベントに合わせて企画した。第1弾はチアガールコアラが応援する受験応援企画。第2弾はハート形をあしらったコアラのスタンプが使えるバレンタイン企画。第3弾はひなまつり企画として、おひなさまコアラスタンプを配信した。想定の2倍を超えるダウンロードがあった他、商品パッケージを持って、コアラSNOWスタンプで加工した写真や動画がアップされるなど反響は上々だった。
大手広告主としては16年に一番乗りでSNOWスタンプを果実飲料「Qoo」で展開した日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)が、17年もハロウィンでSNOWを活用。SNOWで撮影するとハロウィンの仮装が楽しめるハロウィンスタンプを配信した。LINEに次ぐスタンプ施策の定番になりそうだ。
ゆうこす(菅本裕子)著
KADOKAWA 1300円
元HKT48メンバーでモテクリエイターとして活躍する菅本裕子さんが、SNSを活用したセルフプロデュース術を語った本。Instagramにはお気に入りのコーディネートの着まわし写真をアップしたり、ライブ配信前にストーリーズで番組予告をしたりと、SNSの特性を生かして使いこなしている。