デジタルマーケティングの今を理解するのに欠かせないテクノロジー関連のキーワードを事例と共に解説します。大ヒットムックから改めて紹介します。(※「最新マーケティングの教科書2018」(2017年12月14日発行)の記事を再構成)

さまざまなデータを集めて分析することで、企業が自社の顧客の“像”を明確に把握するためのシステム。その顧客像に基づいて、インターネット広告の出稿を最適化する機能などを備えるものが多い。マーケティング効果の向上だけでなく、顧客インサイトを明確にして商品開発などにも生かせる。

自社と第三者のデータを収集、統合、分析 マーケティング効果の向上を狙う

 「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」とは、サイト訪問履歴や会員情報など社内外のさまざまなデータを収集、統合、分析し、ユーザーをセグメント化するなどの手法で「打ち手」(広告、メール、サイトコンテンツなど)を最適化するシステムである。顧客を洞察することで商品開発などにも生かせる。

 取り込むデータは、提供元に基づき4種類に整理できる。自社サイトへの訪問者や顧客データなどの「ファーストパーティーデータ」、データ提供企業が販売する購買行動などの「サードパーティーデータ」、Webメディアやソーシャルメディアなどが閲覧履歴などを基に作成した「オーディエンスデータ」、自社が広告を配信した結果として得られる表示、クリックなどの「広告配信結果系データ」である。データを統合する際は、名前など個人情報をベースにひも付けているわけではない。

 DMPを利用することで、例えば自社サイトのアクセス履歴データとDMP運営会社が保有するオーディエンスデータから、「自社サイトの美容家電の製品情報ページを見た、東京に住む主婦」といったセグメントにユーザーを分類できる。こうした層に首都圏開催の美容家電フェアのターゲティング広告を配信すれば、高い効果を期待できるだろう。

 顧客の洞察、つまり消費者インサイトの明確化はマーケティングや事業の全体最適化につながる。消費者の「意識」を調査やインタビューから洞察するのに比べ、インターネットを通じて入手できるようになった消費者の「行動」をベースに、意識調査データも統合することで、格段に精度の高い洞察が可能となる。

参考になる本
『顧客を知るためのデータマネジメントプラットフォーム DMP入門』
横山隆治、菅原健一、草野隆史著
インプレスR&D 2400円
話題沸騰の「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」について、その概念、仕組み、活用と運用法、サービスを提供している事業者などを分かりやすく解説している。
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