デジタルマーケティングの今を理解するのに欠かせないテクノロジー関連のキーワードを事例と共に解説します。大ヒットムックから改めて紹介します。(※「最新マーケティングの教科書2018」(2017年12月14日発行)の記事を再構成)
Webサイトやアプリのデザインや機能に広告クリエーティブを合わせることで広告の視認性の向上を目指す手法。専有面積は既存のディスプレイ広告に比べて大きくブランディングにも活用できる可能性がある。一方で課題もあり、さまざまな議論が続いている。
広告をアプリやスマホになじませる手法 スマホ広告市場の起爆剤として期待大
ネイティブ広告は「Webサイトやアプリのデザインや内容、プラットフォームの動作と合致しており、ユーザーが違和感なくサイトなどの一部と感じる広告を実現する手法」である。米国の広告業界団体であるインタラクティブ広告協会(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー、IAB)が発表する「IABネイティブアド・プレイブック」によれば、ネイティブ広告の手法は、インフィード型、検索連動型、レコメンドウィジェット型、プロモートリスティング型、ネイティブ要素を持つインアド型(IABスタンダード)、カスタム型の6つに分類される。
6分類のうち「インフィード型」は、ここ数年で登場した比較的新しい手法である。FacebookやTwitterなどと近しい、縦にコンテンツが流れるデザインのアプリやサイトが増えており、そのコンテンツの合間に広告を挟み込むことで広告の視認性を高める。スマートフォン広告市場の起爆剤になるとの期待が高い。「記事レコメンド型」のネイティブ広告はニュースサイトの記事の周辺に掲載される「関連記事一覧」の一部に広告を表示する形式だ。
ネイティブ広告はともすればステルスマーケティングの一種という誤解を招きかねない。広告のデザインや機能を、広告を掲載するサイトやアプリに同化させる手法のため、一見しただけでは広告と気づかない可能性もある。
ネイティブ広告についてはさまざまな意見、議論があるが、事業者や業界団体が新たなルールを策定し、市場の健全な発展を目指す動きもある。広告主企業も、そうした動向を把握しておく必要があるだろう。
谷口マサト著
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消費者の求める情報であれば、たとえ広告でもSNSなどで広く情報が波及される可能性がある。では、どうすれば消費者の心をつかめるのか。また、ステルスマーケティングに誤解されないためにはどうすればよいか。シェアされるコンテンツの作り方と実例を網羅した1冊。