動画広告の効果測定などに活用

 では、ニューロサイエンスマーケティングは実際にどのような局面に使われるのか。例えば、動画広告の効果測定。動画広告を見た人の脳の反応を時系列で追えば、どのシーンでどんな感情が湧いたか、その反応はポジティブかネガティブかが分かる。アイトラッキングを使えば送り手のメッセージを集中して見ていたかも判定できる。その結果、動画広告のクリエイティブをデータに基づいて修正することが可能になる。

 テレビCMで動物保護を訴えてWebサイトに誘導し、そこでペットの里親を募る米国の団体が、ニューロサイエンスマーケティングを使ってテレビCMのクリエイティブを修正したところ、CM視聴後にサイトを訪問する人の割合は、それ以前の133%増になったという。

 欧米では他にも、商品パッケージのデザインの良しあしの判定や、広告キャンペーンのコンセプトがターゲット層に届くかの事前判定などの局面で、使われ始めているという。

 米国の調査では、ある商品の売り上げの動きをリサーチのデータから説明できる割合は、アンケート調査だと24%だがEEGは62%、フェーシャルコーディングなどを合わせれば77%になるという。ニューロサイエンスから得られるデータは実際の売り上げと相関が高いわけだ(図2)。

図2 さまざまな計測手法による調査と市場の売り上げの相関
図2 さまざまな計測手法による調査と市場の売り上げの相関
出所:Nielsen Catalina,USA
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 ニールセンは日本でも今年(2017年)10月に計測用ラボの設備を刷新。2018年からはフェーシャルコーディングのサービスを提供する予定。日本でも、企業などが本格的にニューロサイエンスマーケティングに取り組む環境が整いつつある。

図3 人が動画を見たときのEEG(脳波)の動きの例
図3 人が動画を見たときのEEG(脳波)の動きの例
動画を見て反応した脳の動きを、EEGの動きとして集中(注目)、感情の関与、記憶の活性化を合わせて総合化し、グラフ化したもの。どのシーンで脳が反応しているかが分かる
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ニールセンが設備を刷新した計測ラボ。センサーを頭部に装着し、モニターに現れる画面を見た際の脳の反応を、EEGで測っている photo by Isao MUROKAWA
ニールセンが設備を刷新した計測ラボ。センサーを頭部に装着し、モニターに現れる画面を見た際の脳の反応を、EEGで測っている photo by Isao MUROKAWA
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参考になる本
無意識を明らかに 販促に使われはじめた「ニューロサイエンス」(画像)
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『届くCM、届かないCM』
横山隆治、大橋聡史、川越智勇著
翔泳社 1680円
視聴率を指標にしてきたテレビCMが今、急速な変化に直面している。視聴者のリアルな姿を捉える技術の発達によって、実際に視聴者に届くCMと届かないCMがあることが分かってしまうのだ。その技術の1つとして、ニューロサイエンスマーケティングにも触れている。